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大阪市民として今年2020年11月2日に住民投票が予定されている大阪都構想(現大阪市域への特別区導入)住民投票を前にして、考えることを色々書いていく(つもり)。
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黎明期から時々あった危機を乗り越えて着実に発展していった古代ローマは、
カルタゴを破った後に地中海の覇者となってさらに順風満帆に
発展していくかに見えたが、皮肉なことに強い脅威が消えた後、
元老院の既得権勢力化、ローマの強さの源泉だった中産階級の没落が進み、
内側からの弱体化が起こり内乱も頻発するようになった。
そんな中で苦境からの脱却の努力が行われ、スッラ、ポンペイウス、カエサル
といった英雄が活躍したのが前1世紀のローマであった。
ローマが長らく「人類が最も幸福だった時代」と呼ばれた黄金時代を迎えるのは、
この波乱の時代を超えた後になる。

日本は第二次世界大戦後の冷戦下で自由主義陣営に属しながら
急速に発展を遂げていった。1970年代には停滞に陥ったが、
1980年代には再び発展し、中産階級が強い世界一豊かな国となった。
80年代の終わりには脅威だったソビエト連邦が崩壊し冷戦終結。
前途洋々に見えたが、しかしここから日本は長期の衰退に陥り
失われた20年を過ごし主要先進国中最も貧しい国へ零落した。
この日本の主要都市の中でも一際経済が悪く失業者が溢れていたのが
日本の第2都市である我らが大阪であった。
前一世紀のローマと今の時代の日本、特に大阪は置かれている
社会状況が非常に良く似ているように思われる。

ローマの内戦ではカエサルが勝って長期的なこの国の路線を決めるのだが、
彼の地政学的な面で行ったことを俯瞰してみると気が付くことがある。
カエサルはローマを疑似的な島嶼国にしようとしたのではないかと。
ゲルマン人の侵略に晒されていたガリアはローマに組み入れたが、
ライン川の向こうのゲルマニアはそれを敢えて避けている。
水量の多い大河川を国境防衛線とすれば、島国に近い形にはなる。
温帯に位置する人口5000万以上の大きな島国という条件は、
繁栄に理想的な条件で厳密には日本とイギリスのみしか存在しない。
ローマはこの条件に近づいて後に空前の繁栄を迎えた。

島国の利点の中で大きいものの一つが、外敵からの防衛が容易で、
個別の都市を城壁で囲う必要性が薄く、低コストで国土全体を守れるので、
国民全体の身の安全を図りやすい、分業による国民経済の発展が容易、
社会階層間の対立が深刻化しにくいなどの色々なメリットがある。
カエサルは城壁の弊害と逆にこれが不要になることでのメリットも
理解していたのか、ローマを護っていたセルヴィウス城壁を撤去して、
その上で中心部と郊外の一体的な大規模再開発を断行した。

大阪都構想は中心部と郊外を分ける政令市の壁を取り払って
大阪都市圏全体を成長させるヴィジョンを描くものなので、
カエサルのセルヴィウス城壁撤去&再開発と驚くほど似ている。
故にたぶん目の前に控えた11月1日の大阪都構想住民投票の結果は、
大阪、そして日本がこれから繁栄の時代を迎えることができるかの
重要な岐路であるらしい。

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