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大阪市民として今年2020年11月2日に住民投票が予定されている大阪都構想(現大阪市域への特別区導入)住民投票を前にして、考えることを色々書いていく(つもり)。
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世界の主要な巨大都市は本質的には2つのタイプに分かれるように見える。

A.海洋自由先進型・・・グレーターロンドン、東京都など。
           NYは完全ではないがこれに近い。
           基礎自治体も首長公選で2層の民主的な自治体で
           都市圏が構成される。
           城壁都市の伝統が薄いか無い。海洋に近いか接する。

B.大陸統制権威型・・・北京市、モスクワ市、パリ市、ソウル市など。
           1層の巨大市で(中央政府直轄のこともある)、
           官選区長の行政区が置かれる。
           城壁都市の伝統が強い。海洋から離れていることが多い。

Aのタイプの巨大都市が典型的な世界の発展を主導するメトロポリスで、
Bのタイプの巨大都市は中央集権的な大国の首都であることが多い。

近代以降の世界史を眺めると、基本的にAのタイプのシーパワー系の都市が世界経済の中心となってきたことが判る。「アムステルダム → ロンドン → NY」
アムステルダムは人口規模が大きな都市ではないが、今でもアムステルダム都市圏を包含する
北ホラント州とその中にある各市の構成を見ると、実質的にAのタイプの都市であるのが興味深い。

日本では現在は東京都のみが採用する都制度はAのタイプの都市制度、政令市制度はBのタイプの都市制度とみなせる。大正時代にはほぼ同規模の都市であった東京と大阪が、前者の制度にシフトした東京が大きく発展し、後者の制度を維持し続けた大阪がそれに差をつけられたのは(これだけが要因ではないが)、マクロには世界的な傾向に忠実な結果であるように思われる。

大阪は歴史的に日本の中でも特にシーパワー的な性格と親和性の強い都市である。
本来相性の悪いランドパワー型の自治制度を維持してしまったことがあまりに大きな重荷になってきたと考えられる。

島嶼国である日本自体が自由主義的なシーパワーとは相性が良く、権威主義的なランドパワーとはすこぶる相性が悪いことが歴史を見ればくっきりとわかるが、大阪は輪をかけてこの傾向が強い。シーパワー先進国と親しい時期に繁栄し、逆に平成の時代に多くの企業が北東アジアへ入れ込んで世界最強だった電器産業は半ば壊滅した。

大阪が非常に繁栄した大正時代は日本が同じ温帯島嶼国のイギリスと同盟国であった時代だが、
2020年の現在、欧州大陸から距離を置いて海洋へ回帰するブレグジットを実行に移している。
その中で日本との関係を特に重視して、2025年万博の大阪誘致成功では最も協力してくれた国である。このタイミングでグレーター・ロンドンをモデルの一つとする大阪都構想の住民投票が実施されようとしているのは愉しい流れに感じられる。

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世界的に株式の平均的なリターンの平均は年率5%程度と言われる。
これだけ見ると派手なところはないが、中長期的なスパンとなると、
元本自体が利子によって雪だるま式に少しずつ膨らむ複利の効果が発揮されて、
約14年で元のリソースが倍増する計算となる。
長期的に持続する効果は、かくも結果に大きな影響を与える。

東京と大阪は明治維新後元々は同様の自治制度でそれぞれ
東京府・東京市、大阪府・大阪市が併存していた。
そして当時も現在も東京が首都であることは変わらない。

約80年前に東京は東京都&23特別区の都制度へシフトした。
この頃は東京都市圏と大阪都市圏の経済力や人口は同じ程度であった。
そこから発展に差が出てきて、現在では経済力も人口も約3倍の差がある。
トップリーダーの資質は運によるところが大きいので、
その時々のリーダーの資質はどちらの都市も当たり外れがあったと思われるが、
常に東京の方がシステムによる優位を少しずつ受け続けた結果と考えられる。
計算すれば、都制度が政令市制度よりわずか年率で1.4%だけ成長率に優位をもたらすことで、
80年間では約3倍の規模の差を生むことになる。色々な要因があるにしても、
統計からは自治制度の差が長期的には決定的な違いを生んだと読める。

首長のスーパーマン的な行政能力を期待するよりも、
システムの合理性(役割分担や行政機構の民主的統制の効率性の良さ)を
改善する方が遥かに都市を繁栄させることを強く示唆する80年の実績である。

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大阪都構想はそれが実現するのが天意であるがごとく、追い風が吹いているがごとく2015年5月に1回目の住民投票実施が実現する。しかしそこで僅差で否決になり提唱の中心だった橋下徹大阪市長(当時)は引退へ。しかし代替案は推進されず、推進派が府市のW首長選挙などで圧勝したことで2回目の住民投票が行われるに至った。数奇なストーリーを描いているが、次の3点に気が付く。

1.2回目の大阪都構想の方が区割り案が明らかに優れている。
2.2回目の方が現大阪市民にとって政治基盤的に安心な人物が都知事に就任することになる。
3.奇しくも国政与党内で大阪都構想に最も好意的な人物の政権下で都制移行可能になった。

最も重要な1について。
私は大阪市南部の住民なので気が付いたことだが、東西南北中央の5区に分けられた2015年バージョンの区割りでは、梅田が中心になる新北区だけは問題ないが、他はコアになる中心街が弱いか存在しない。天王寺・阿倍野の繁華街は2つの特別区に分断される。
これが2020年バージョンでは完全に欠点が解消される梅田・難波・阿倍野&天王寺・新大阪の3大繁華街を含む4大ターミナル駅を中心する4特別区の形となった。前回と同じ5区は避けて4区案と6区案が検討・試算され4区案が財政効率的に優れている為に採用されたことが最大の幸運なターニングポイントだったように思われる。

2について。
前回の住民投票の少し前に、府下へ金が流れるとの反対派の宣伝が効いてそうで、これはやや賛成側不利かなという気がして、松井一郎大阪府知事(当時)にSNS上で賛成多数になった場合には大阪市内へ住むことを公約してくださいとお願いしたとことがある。(こんな僭越なお願いに丁寧な回答をいただいて恐縮したが、引っ越しはされず都構想は否決された。)
別項で書いたように誰が初代大阪都知事になろうと現大阪市内に特に有利に働くのは冷静に考えれば明らかだが、但し当時の都知事候補だった松井一郎大阪府知事(当時)、橋下徹大阪市長(当時)の2人ともが郊外在住なのは多くの大阪市民にとって宣伝によって不安を呼び起こしやすい要因だと容易に想像がついた。しかし今回2020年に都制移行が決まった場合には(直近のW選挙で松井氏と吉村氏がポジションを交換しているために)大阪市内が地盤の吉村洋文現大阪府知事がそのままスライドして都知事を務めるのが確実である。

3について。
大阪都構想2.0の住民投票を前にして、国の首相が安倍首相から実質上禅譲の形で菅義偉首相へ変わった。ほぼ間違いなく国政与党内で最も大阪都構想に好意的な人物が首相に就いたということである。これには天意を感じざるをえない。都制移行は数年かけて行われるのでこれはスムーズな移行にプラスになる。都構想と直接関係は無いが菅義偉首相は早速2025年大阪万博を担当する万博担当大臣を新設してくれている。そして都制移行が決定した場合に大阪府の呼称の「大阪都」への改称は国会で別途そのための法案を通す必要があるが、そのハードルがかなり低くなったと言える。

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大阪の都制移行の是非を考えると、そもそもおよそ最適な国・自治体の構成とバランスは?という問題意識に行きつく。

国・広域自治体・基礎自治体の3層を前提にして、
どうやら基礎自治体は学者さんが言われる約30万人規模くらいから都構想の試算で効率が良いことが判った70万人規模くらいまでがおよそ優れていて(これは中核市規模である)、
国の規模はおよそ5000万人~2億人くらいが理想的(周辺に先進国が無い日本が長期間先進国でいられるのはこの要因に助けられたのがあるかも。)かなと。
広域自治体は基礎自治体、国の両方との規模の比率が16倍程度がどうやら役割分担が上手くいきやすいのかなと。

「基礎自治体50万人 (16倍) 広域自治体800万人 (16倍) 国12800万人」

地域ごとの固有の要因があるから完全にはこのようにできないだろうけど、
このバランスが自治体・国の規模の理想の目安とは言えそうである。
幸いなことに大阪は都制移行・拡大によってこの形に限りなく近づくことができることに気が付く。

この図式が出た時に次に沸いた疑問が、基礎自治体の16分の1の強力な補助自治体や国の16倍の強力な超国家機構が必要ということにならないか?ということ。
結論はNO。
(横軸人口の対数で)諸々の行政サービスに最適な人口規模の分布をイメージすると、大まかにはおそらく人口800万人程度をピークとする釣鐘型というか正規分布になるのが自然ではないかと。
そうであれば、分布ピークの800万人前後を広域自治体が引き受けて、それより大きな尾の部分を国が、小さな尾の部分を基礎自治体が引き受ければ綺麗な役割分担になるので事足りる。

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大阪都構想で問題視されるのは主に大阪府と大阪市の役割の競合が大きい弊害である二重行政問題についてである。
二重行政の問題だけであれば、理屈上は大きすぎる基礎自治体をダウンサイジングする方法の他に、広域自治体の方を巨大化させる方法があって、実際に都構想反対派の平松元大阪市長は関西州にすれば二重行政は問題ないと提唱していた。

しかし大阪市のような巨大な政令指定都市と競合しにくいレベルに広域自治体をアップサイズするには、相当巨大な州にして役割もより広域的なものへシフトが必要だが、この場合に2点新たに問題が生じる。ひとつは今度は巨大な州と国の間で二重行政が生じやすくなること、もう一つはそもそも基礎自治体として大きすぎると人口比で巨大過ぎる行政機構の正常な民主的統治が困難になり実質的な全体主義体制を生じやすい。大阪市が長期間陥った中之島一家体制はその必然と言って良いかもしれない。

全体主義と言えば20世紀前半のヒトラーのナチスドイツとか今なら習近平の共産中国などが典型例だが、20世紀前半のイタリアでムッソリーニが構築した全体主義(ファシズム)はよりソフトで多様な勢力を取り込むものであったらしい。風土としてイタリアに似てるとも言われる大阪に生じた中之島一家体制はこのムッソリーニ型全体主義と言える気がする。ソフトなものであっても権力に近い人間や組織ほど多くの利益を受けて末端ほど不利益を被り社会を硬直化させる全体主義の欠点の弊害は受けるし、ソフト故に体制が長期化しやすかった面もある。

健全な正統派的な形の公平性が高く民主的な市民社会を構築するには、基礎自治体としてはおよそ中核市レベルの基礎自治体が最善であるのかなという感じがする。

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